Japanese
English
特集 脳のシンポジウム
主題:ニューロンをめぐつて
神経細胞の測量
Ouantitative Study of Nerve Cells
萬年 甫
1
Hajime Mannen
1
1東京医科歯科大学難聴研究施設
1Institute for the Deaf, Tokyo Medical and Dental University
pp.62-66
発行日 1966年3月25日
Published Date 1966/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904263
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神経細胞の特色は,細胞体の形がきわめて不規則で,球状,錐体状,円濤状,その他千差万別,しかも生体の中で他に類をみないほどの長い突起をだしているということである。しかもこの突起には2種あつて,ひとつは樹状突起とよばれ,ふつう数本,多いものでは10本以上もあり,太く,そしてその表面に棘があり,名のごとく木の枝のようにさかんに枝分れする。他は軸索とよばれ,数は1本で,細くて表面が滑らかであり,リポイド性の髄鞘で包まれている点で前者と異なつている。この軸索からも側枝が出て盛んに分枝する。髄鞘は軸索の中を伝わる興奮が外にもれないように絶縁体の役をすると考えられている,樹状突起は長いもので1ミリ余であるが,軸索の場合は1メートル以上に及ぶものも珍らしくない。樹状突起は原形質突起ともよばれ,細胞体の直接のつづぎと考えられている。その意味で,神経細胞では細胞体と樹状突起を合せたものが本当の細胞体ということになる。
ところで神経細胞の形態がこのような姿でわれわれの知識に繰り入れられるまでには,かなりの年月を要している。はじめて図示されたのは1836年,エーレンベルグによるといわれている(第1図)。当時は,細胞体とそれから出る1本の突起だけが記載されていた。細胞核の中にはつきりと核小体が描かれているのが印象的である。それから30年後の1865年にダイテルスの書きのこした図がある(第1図)。
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