Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題:ニューロンをめぐつて
シナプスの電子顕微鏡的構造
On the Fire Structure of the Synapses
浜 清
1
Kiyoshi Hama
1
1大阪大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Osaka University Medical School
pp.55-61
発行日 1966年3月25日
Published Date 1966/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904262
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シナプスにはその興奮伝達機構の上から,電気的シナプスと化学的シナプスの二種の存在が知られている。また,その後シナプス側に及ぼす効果の上からは,興奮性のシナプスと抑制作用をもつシナプスの二種類が区別される化学シナプスの中でも数種の,伝達物質を異にするシナプスの存在が知られている。このような各種のシナプスにおける生理機能と微細構造との対応づけを行なうことによつて,シナプスの微細構造要素の機能的な意味を明らかにすると同時に,でき得れば興奮伝達の分子機構の解明の手がかりを得たいというのが,シナプスの電顕像を見ている形態学者の共通の目標であろうと考えられる。ところで二のような目標を達成する手がかりとして私が選んだ方法は,生理機能の比較的よくわかつている無脊椎動物の巨大神経のシナプスの微細構造を観察し,その構造と機能との関連を見出すことであつた。電気的シナプスとして知られているミミズの巨大神経の体節ごとに見られる切れ目(第1図),およびザリガニの外側巨大神経などに共通な特徴は,シナプス部における細胞間隙がきわめて小であるか,または存在しないこと,およびシナプス小胞が存在しないことてある(Hama 1959,60,Robertson 61)。ヤリイカの星状神経節における第二次および第三次巨大神経の接合部とザリガニの外側巨大神経および運動巨大神経間に見られるシナプスは,光学顕微鏡レベルではまつたく同様の構造をもつことが知られている。
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