Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題:脳研究の方法論をめぐつて
—バイオニクスの立場から—情報工学から見た脳の機能
Brain Functions from the Viewpoint of Information Engineering
南雲 仁一
1
Jin-ichi Nagumo
1
1東京大学工学部計数工学教室
1Dept. of Mathematical Engineering and Instrumentation Physics, FaculIty of Engineerig,University of Tokyo
pp.47-54
発行日 1966年3月25日
Published Date 1966/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904261
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I.はしがき
脳は,いままでに作られたどのような情報処理機械よりも綜合的な性能において勝つているという点で最近の情報工学の注目を集めております。特にBionicsは,生体のすぐれた機能を工学的に実現し活用することを意図したものてすから,脳の機能には深い関心が持たれます。
御承知のように,現在の情報処理機械のなかで最も高度に発達したものは電子計算機です。電子計算機は"考えのすじみち"がはっきりした仕事ならば,少なくとも原理的にはどんなことでもすることができます。のみならずたいていの場合,人間よりも正確で迅速です。しかしわれわれが平素考えていることのなかには,なぜそう考えるのかが自分でもわからないものがたくさんあります。特に,創造的な仕事のような高級な精神活動はすべてこの種類に属します。そしてこのような仕事は現在のところ電子計算機にやらせることはできません。しかし将来脳の生理学の進歩によつてこの辺の事情がはつきりするならば創造的な仕事も機械化できる可能性が強くなりますから,情報工学は脳の生理学の進歩にまつところが大きいわけてす。
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