Japanese
English
一般演題
12 脳リボゾームの精製について—その物理化学的性質と電子顕微鏡による観察
Purification and Electron Microscope Observation of Calf Brain Cortex Ribosomes
品川 嘉也
1
,
堀 清記
1
,
入交 照彦
1
,
桝村 純生
1
,
伊達 慶宗
1
,
井上 章
1
Yoshiya Shinagawa
1
1京都大学医学部生理学教室
1Dept. of Physiology, Medical School, Kyoto Univ.
pp.628-633
発行日 1964年7月25日
Published Date 1964/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904125
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神経細胞にみられるニッスル小体が粗面小胞体に外ならないことが,電子顕微鏡により確められ,小胞体におけるPalade粒子が核蛋白粒子として同定されribosomeと命名されてより,神経細胞における蛋白合成に果す役割が注目されるようになつた。ニッスル小体は脳における神経機能の消長との関係した形態学的変化を示す点でふるくから組織学的に注目されて来た1)2)3)。神経細胞における蛋白合成が,他の分泌器官や細胞分裂のさかんな臓器と異つた特異な活動,とくに記憶と関係していると推測されるようになつた。脳組織における極めてさかんなエネルギー代謝の大部分がアミノ酸・蛋白代謝に用いられることを考え合わせると,蛋白合成の場としてのニッスル小体およびribosomeの研究はますます重要性を示して来ている。
近年,脳リボゾームの分離が数多く試みられて来た4)5)6)7)。我々8)も同様の試みを行い,特長的な超遠心沈降パターンをもつたリボゾーム粒子を分離することができた。しかし,これらの脳リボゾーム標品はいずれも蛋白の混在を思わせる部分的精製標品であり,吾々の前報8)を除いて満足すべき超遠心沈降パターンが得られていない。脳リボゾームの物理化学的性状を調べ,臓器特異性を論ずるためには純粋なribosomeを分離することが必要であり,脳の蛋白合成の研究には不可欠の問題である。
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