血液浄化機器2020
第Ⅳ章 アフェレシス装置 4.血液成分分離装置
井福 武志
1
,
竹内 正志
2
1原信会原口病院循環器科内科・臨床工学技士
2雪の聖母会聖マリア病院臨床工学室・臨床工学技士
pp.1009-1011
発行日 2020年8月20日
Published Date 2020/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001400
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アフェレシス療法において,全血からの血液成分分離は遠心分離法と膜分離法に大別することができる.前者は,抗凝固した全血に遠心力を加えることにより,血液成分がそれぞれ固有の比重に応じて同一細胞層を形成することを利用し,目的の成分を採取・除去する技術である.おもに血液事業における血小板および血漿の成分採血や,病院施設における血液腫瘍患者への輸注を目的に行うリンパ球や顆粒球採取,造血器腫瘍などでの造血幹細胞移植のための自己および同種の末梢血幹細胞採取などに用いられている.後者は,膜に空いている細孔のふるい分けにより分離する技術である.これは血液透析の膜製造技術の向上とともに発展した.今日の治療用アフェレシスではこの膜分離法を用いることが多くなったが,欧米では1960 年代より遠心分離を応用する血漿交換療法が行われており,本邦においてもPCPP(post centrifugalplasmapheresis)をはじめ,その安全性や生体適合性の良さから,血液成分分離装置を用いた治療用アフェレシスを積極的に行っている施設もある.
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