Japanese
English
特集 神経疫学
新潟地区におけるてんかんの疫学
Neuroepidemiology of Epileptics in Niigata District
植木 幸明
1
,
佐藤 進
1
Komei Ueki
1
,
Susumu Sato
1
1新潟大学医学部脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Niigata Univ. School of Medicine
pp.313-325
発行日 1963年3月25日
Published Date 1963/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904017
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1.はじめに
我々が実際に「てんかん」患者の診療にあたつて,つよく感ずる問題の一つは,[てんかん」という疾患が,単位人口に対していかなる割に発病し,或いは存在するものだろうかという事であり,又これらの患者がいかなる経過をたどるものなのか,という事であろう。「てんかん」に関する研究,特にその臨床像,予後及び脳波学に関しては多方面から数多くの研究者に依り詳細な資料が報告されているにもかかわらず,Merritt15)が指摘する如く,「てんかん」の発病率,罹病率を中心とした疫学的研究の報告は極めて少なく,その実態は殆ど把握されていない現状である。本邦に於いてはその報告をいまだ見ない。しかし,この問題は,「てんかん」が社会的疾患の一つとして重要な意義を持つて来ている今日,その医療対策を構ずる上にも是非為されなければならぬ大きな問題である。
今日一般に「てんかん」の罹病率は,0.4-0.5%と信じられている様であるが,これらの値は,主として徴兵検査或いは健康診断等に際して得られた数値であつて2),その対象が限られた年齢層或いは,選択された人口である為,必ずしも「てんかん」の発病率,罹病率を正確に表わしているとは言い難い。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.