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特集 神経疾患の疫学
てんかんの疫学—発病率,罹病率について
Epidermiology of epilepsy:Incidence rate and prevalence rate.
佐藤 進
1
Susumu Sato
1
1山形県立中央病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Yamagata Prefectural Hospital
pp.427-436
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204933
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はじめに
てんかんに関する研究は,臨床的な面からも基礎的研究の面からも実に厖大な数にのぼるが,疫学的な面,特に発病率(incidence rate)や罹病率(prevalence rate)を知るための集団調査(population survey)は意外に少なく,著者が調査を開始した1958年より1960年頃にはほとんど認められず,調査中に英国のPond, Crombieら,Kurland, Lessellらの報告が現われたに過ぎなかつた。その後,1960年代後半から1980年迄,世界各地からの報告がみられるに到つたが,本邦では著者が行つたようなてんかんに関する疫学調査は,知る限りではみらないようである。唯,昭和52年に厚生省の「小児神経疾患の疫学的研究」の一環として,岡山県下で大田原ら25)による小児を中心に行われた調査をみるに過ぎない。
てんかんはその特異な発作症状,精神症状,性格偏奇等から,特に今日のごとく文明化し高度に機械化された社会生活の中では,社会医学的な面から幾多の問題を持つ慢性神経疾患であり,しかも,その数の上からも決して少なくない疾患である。従つてこれらの患者を社会の中で全体として把握することは極めて重要なことであると考えられる。そのまず第一段階としての罹病率,発病率の把握もまた重要であると考えられる。
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