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特集 第4回神経化学懇話会
行動の神経化学
諸減動状態におけるマウスの行動の特性と脳内物質の刺激に対する反応
Behavioral Characteristics of Mice with Reduced Activity and Changes in Level of Brain Constitutes to Various Stimuli
清水 俊郎
1
,
湯浅 修一
1
,
船渡川 誠一郎
1
,
宮田 敬一
1
,
金松 直也
1
,
台 弘
1
T. Shimizu
1
,
S. Yuasa
1
,
S. Fu natogawa
1
,
K. Miyata
1
,
N. Kanematsu
1
,
H. Utena
1
1群馬大学医学部精神科
1Dept. of Neuropsychiatry, Gunma Univ. School of Medicine
pp.646-650
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903998
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まえおき
我々は,種々の条件においてマウスが示す行動状態の特性を脳内物質の量と対比して,これら物質の機能的意義を求めようとして実験を進めてきた。動物の刺激に対する反応を調べることは,動物の状態特性を分別する有益な方策の一つであるが,諸物質の脳組織内濃度を測定する場合にも,安静時レベルと同様に,適当な刺激に対する変動を求めることによつて,一層機能状態と関連づけられるように思われる。
例えば,塚田らは1),ラットの足部通電刺激実験において,5秒間の電気刺激後150分間は,脳アンモニアのレベルが正常に戻つているに拘らず,第二刺激によるアンモニアの増量が起らないことを示している。また湯浅は,ep系マウスを車かご内で飼うと脳アンモニアは速やかに増量して,1時間後には既に非痙攣マウスのレベルに達することを認めた2)。この状態は1週間飼育後にも同様に認められる。すなわち車かご飼育1時間のepマウスと車かご飼育1週間のものとは,脳アンモニアの安静時の値から見れば変化がない。ところが放り上げ刺激に対する反応を見ると,前者では著増,後者では無変化で明らかな相異を示す。この際車かご飼育1週間のepマウスでは痙攣が著しく起り難くなつていることが注目された。かかる痙攣閾値の上昇は脳アンモニアの安静値よりも,むしろ刺激に対する反応性に平行関係が認められたのである(第1図)。
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