Japanese
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特集 脳血管性障害・II
脳血管障害に於ける抗凝血剤の使用について—主として血栓栓塞症の対策
The Use of Anticoagulants in Cerebrovascular Disease
池田 正男
1
,
細田 瑳一
1
Masao Ikeda
1
,
Saichi Hosoda
1
1東京大学冲中内科
1The Third Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.611-621
発行日 1961年9月25日
Published Date 1961/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903939
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I.はじめに
近来欧米に於いては,血栓栓塞症の治療として抗凝血剤(Anticoagulant:Heparin,Coumarin等)と血栓溶解剤(Thromolytic agent:Streptokinase,Fibrinolysin等)による治療がとりあげられ,又ごく最近に於いてはこの併用療法が考慮されつつある。然し血栓溶解剤の臨床的使用は,期待の持てる治療法であるが,現在では未だ予報的段階を出ず今後の検討を必要とする所が大きいので,抗凝血剤による治療に就て述べる。
抗凝血剤は十数年来,臨床的に,末梢血管の血栓,冠動脈の血栓栓塞疾患,心臓内の血栓に対する治療及び予防として用いられ,これらの疾患の死亡率を著しく減少せしめ,又血栓栓塞症の再発を予防し得る事が実証され,多くの批判を受け乍らも現在では広く一般に受入れている。同様に血栓栓塞に由来する脳通管障害に対しても理論的に抗凝血剤の使用が期待され,実験的並に臨床的研究がつづけられて来た。
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