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I.はじめに
重症心身障害とは,重度の肢体不自由と重度の精神薄弱が重複するものをさす行政的概念であって,医学的診断名ではない。しかしわれわれは重症心身障害児の措置名で入院しているものの臨床および病理学的経験を通して,そこには医学的に充分検討しなければならない問題が累積されているのではなかろうかと考えている。
今回は重症心身障害の病理,とくに周産期および出生後障害についての自験例からの知見や本邦文献例についても概観したいと考えている。ただしその際,前提条件ともなるべき,重症心身障害の概念そのものが単に行政的なものにすぎないのなら,病理学という純医学的見地からの検討は全く意味をなさない。事実,わが国の多くの専門家の中にもそのような批判があり,あるいは無視〜等閑視されるきらいにある。また欧米諸外国にもわが国でいう重症心身障害に相応する適切な用語はみあたらない。そこで今回は論をすすめるにあたりまず,医学的立場からみた重症心身障害の概念や診断基準の問題などを避けて通るわけにはいかないと思われるので,日頃から懐いているわれわれの考えを述べ御批判をあおぎたいと思う所存である。
1) A concept of the severely handicapped, physically and mentally, is based on administrative one in Japan, that is, on the child welfare low. These handicapped people have had some abnormality or damages in the brain in the early developmental stage from a medical point of view. Most of them have combined symptomes as motor dysfunction and severe mental retardation. Moreover, sixty percent of them have epileptic seizures and abnormal EEG activities (Table 1).
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