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Ⅰ.まえがき
重症心身障害とは重度の脳性麻痺と精神薄弱を重複しているものをさす。そもそもは処遇上の必要から生じた行政的概念であって医学的診断名ではない。とはいえ,重症心身障害として施設に措置され,神経系の粗大な障害のほかにしばしば生命維持にすら困難な重篤な症状を有する一群があり,しかもその医学的実態,背景についても充分な検討がなされていないのが現状である。さらにその基になっている脳性麻痺,精神薄弱,あるいは癲癇という概念も一般医学でいう厳密な疾病概念とするには多く問題を含んだもので,一種の複合概念〜症候群といえよう。
われわれは不幸にして死の転帰をとったいわゆる重症心身障害の剖検例の検索からアンモン角萎縮1),点頭痙攣群2),視床病変3)などについてある程度重点的に調べ,報告してきたが,今回は小脳病変を中心に臨床病理学的見地から二,三の問題を提起,報告したい。なぜなら,小脳は上記部分とともに幼弱脳ではしばしば重篤な損傷をこうむるし,臨床的に問題になる脳性麻痺のataxic formの有無,小脳症状の問題のほかに,実際には種々の進行性疾患,奇型などが混在しており臨床,処遇上からも多くの問題点を含んでいると考えたからである。
1) Twenty-five autopsy cases of severe physically a d mentally handicapped were examined, especially refered to pathological changes of cerebellum.
2) Our cases were classified into four groups based on cause or etiology.
a) CNS. malformation group (prenatal). ; 4 cases.
b) birth injury group (prenatal) ; 13 cases.
c) encephalopathy or encephalitis group (postnatal) ; 5 cases.
d) cerebellar disease group (spinocerebellar degeneration) ; 3 cases.
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