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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—ウイルス感染と神経系(いわゆるslow virus infectionの考え方)
ウイルス学の立場からみたSlow Virus Infection
Slow Virus Infection from Virological Point of View
石田 名香雄
1
Nakao Ishida
1
1東北大学医学部細菌学教室
1Department of Bacteriology, Tohoku University Medical School
pp.432-438
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903257
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I.はじめに
中枢神経系を侵す慢性疾患で,原因ならびに成因の判明していない疾患があまりにも多い。しかし近年この問題にも一つの光明が与えられたかに見える。すなわちSlow virus infectionという概念であり,B. Sigurdssonによれば,"progressive pathological process caused by an agent that remained clinically silent for a long incubation period of months to years,and then produced disease with chronic accumulating disability"と表現される。すなわち既知のウイルス(Conventional virus)と対比してSlow virusという概念の導入である。表1に示すように脳の病理組織学的表現は両者の間で明らかに異なる。
しかしSlow virus感染症の名のもとに最近あまりにもカテゴリーの異なつた多くの神経疾患を概念的に包括する傾向がある。そこでもつともSlow virus感染症の名にふさわしい,羊のScrapieに焦点をしぼつてみたい。
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