Japanese
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特集 三叉神経系
顎・顔面領域の固有受容性感覚
Proprioceptive sensory mechanisms in the oral-facial area
河村 洋二郎
1
Yojiro KAWAMURA
1
1大阪大学歯学部口腔生理学教室
1Department of Oral Physiology, Dental School, Osaka University
pp.1042-1053
発行日 1974年12月10日
Published Date 1974/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903682
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はじめに
体の表層に存在する感覚受容器は一般に外環境の変化を鋭敏に感受して,これに対応する反応を生体に生じさせる。しかし体の深部組織には表層に存在する感覚受容器とは異なった受容器が存在し生体自身の状態あるいは生体自身に生じる変化を感受し適応反応を生じさせる。とくに骨格筋やその付属器官である腱,関節・血管などには,このような性質の感覚受容器が存在している。これら感覚受容器は生体自身によって刺激され,刺激を生じている組織の状態を中枢に伝えるので固有受容器proprio-ceptorと名づけられ,このような刺激を自己固有感覚刺激proprio-ceptive sensory stimulationと呼んでいる(Sherrington,19471))。このように外受容性extro-ceptiveに対して自己固有性proprio-ceptiveなる概念が生じた。しかし,この両者は機能的に密に関連しているうえに,固有感覚という表現自体が今一つ明確でなく漠然としている。固有感覚という表現は骨格筋についてのみとくに明確にいえることである。たとえば,歯根膜の固有感覚といった表現が古くから広く使われている。おそらく歯根膜からの感覚信号によって反射的に顎筋活動が影響を受け下顎の位置が調節されるから,この感覚信号にproprio-ceptiveなる表現が用いられてきたのであろう。
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