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特集 第7回脳のシンポジウム
主題—グリア細胞
網膜のグリア細胞
Glial element in the vertebrate retina
村上 元彦
1
Motohiko MURAKAMI
1
1慶応義塾大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Keio University School of Medicine
pp.94-96
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903353
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網膜を構成する細胞は視細胞,双極細胞,水平細胞,アマクリン細胞,神経節細胞およびミューラー細胞が主なるものであり,このうちミューラー細胞がグリア性であることは疑う余地はないであろう。しかし網膜の微細構造,とくに神経細胞間のシナプス連絡が電子顕微鏡学的研究によつて明らかにされる以前は,水平細胞とアマクリン細泡をグリア要素の中に挙げるものもあつた。とくに1953年Svaetichin1)によつて硬骨魚類の網膜から非常に特異な電位(発見者の名にちなんでS電位と呼ばれる)が発見されて以来,その電位発生部位,および発生機構のグリア説をめぐつて甲論乙駁相当の混乱があつた。
魚の網膜に微小電極を刺入してゆくと,ある深さで20〜30mVの静止電位が現われ,白色光刺激を与えるとさらに数10mVの負の方向に振れる大きな電位変化(S電位)が記録される。また単色光を刺激光としてその波長を変えてみると,あるものは可視部全域にわたつて負の応答を示し,またあるものは短波長域で負,長波長域で正方向の応答を示す。前者をLuminosity typc(略してL-type),後者をChromaticity type(C-type)と呼ぶ。ざらに負—正—負と3相性に極性を変えるものもある(図1参照)。
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