Japanese
English
特集 第7回脳のシンポジウム
主題—グリア細胞
グリア細胞—生化学より
Neurogial cells: Some biochemical sapects
永田 豊
1
Yutaka NAGATA
1
1慶応義塾大学医学部生理学教室
1Department of Phusiology, Keio University School of Medicine
pp.68-75
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903349
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
脳は各部位によつて含まれる細胞の種類も異なり,機能の局在があることはよく知られている。また脳の活動の主役を演ずるのはニューロン(神経細胞)であることはいうまでもないが,その周囲にはグリア細胞がぎつしりと隙間なくとり囲んで存在している。そして両種の細胞は形や働ぎが違つているように当然それぞれの物質代謝系も異なつているだろうと推測される。しかしながら従来の神経化学的研究の材料として用いられている脳切片,ホモジェネート,細胞下分画などでは,その中に含まれるニューロンとグリアの割合は様々で不均一であり,したがつて得られた生化学的分析結果は両種の細胞の平均的値を示すにすぎず,これらの成績を脳機能と直接に結びつけて論ずることはできない。
そこで脳組織からその主な構成成分であるニューロンとグリアを別々にとり出してそれぞれの細胞について生化学的分析を行なうことによつて,細胞レベルでの機能活動の物質的基盤を明らかにできるであろう。それのみならず相接して存在するニューロンとグリアの各細胞相互間の代謝的関連をもまた知ることができると考えられる。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.