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特集 第9回脳のシンポジウム
主題:神経情報処理機構
脊椎動物網膜の情報処理機構
Information processing in the vertebrate retina
村上 元彦
1
Motohiko MURAKAMI
1
1慶応義塾大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Keio University School of Medicine
pp.1106-1112
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903583
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眼に入った光は,透明な網膜の層を通過して視細胞の外節に達する。外節には視物質が含まれていて光により光化学反応がおこり,ついで視細胞の電気活動に変換される。視物質,とくに桿体のロドプシンの構造とその光化学反応については詳細な知識が集積されている(原,吉沢,1973参照)1)が,この光化学反応と視細胞の電気活動の連関機構はまだほとんど解明されていない。視細胞でうけとられた光の情報は双極細胞,水平細胞,アマクリン細胞で構成される複雑な神経回路網で処理されたのち,最終的には神経節細胞のインパルスとなり,視神経を経て脳に送られる。
超微小電極法の発達により,現在では網膜を構成するすべての神経細胞およびグリア細胞の電気活動を単一細胞のレベルで把えることができるようになり(Kaneko,1970)2),一方では最近の電子顕微鏡学的研究により,個々の神経細胞の微細構造およびこれら神経細胞間のシナプス連絡が明らかにされていて,神経生理学的に得られたデータを解釈するのに重要な資料を提供している。
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