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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—脳研究のあり方(パネル討論)
神経疾患理解に対する神経病理学的アプローチの一つの試み—神経病理学の視点からみた従来の疾患分類への疑義
A Trial of the Neuropathological Approach in an Understanding of Nervous System Disorders: A Question to Their Traditional Classifications from Neuropathological Viewpoint
白木 博次
1
Hirotsugu Shiraki
1
1東京大学医学部脳研究所病理部
1Department of Neuropathology, Institute of Brain Research, Tokyo University Medical School
pp.400-415
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903252
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I.はじめに
今日お話し申し上げるのは,神経病理学の領域で,私が,長年手がけてきた資料からえられた経験と実証性にもとづく考え方というより,むしろ最近,やや偶然かもしれませんが,かなり数多くの,いくつかの同一カテゴリーに属するケースが集まつてきたところから,浮かび上がつてきた考え方ともいえましよう。したがつて,それはまだ,充分ロジカルな道筋をへて結実したものとはいえません。
ところで,神経病理学は,ご承知のように,神経系の疾患研究における臨床と基礎との橋渡しの役目を果たすところが,他の神経科学よりも,多分にあるように思います。もちろん,脳神経疾患の原因を追求してゆく過程では,神経病理学は,基礎医学的な色彩を多分にもつてはおりますが,臨床と病理の相関性の面では,神経病理学は,より臨床医学の側面に近づいてゆかざるをえません。
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