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二つの観点から討論したいと思います。一つはoil—waxによつて破壊されたamygdalaについては,病理学的にどのような姿を期待できるか?他の一つはamy—gdala破壊のもつ意義と,その後発損傷の可能性は?ということです。
まず第一の点については,この種の手術による剖検例が,まだ私たちの手もとにないので,楢林助教授によつてtorsions-dystoniaに対し,両側のpallidotomyとthalamothomy (V-L—tomy)とが行なわれた1剖検例から類推するほかありません。手術は死亡に先だつ1年7カ月前に行なわれたものが最も古く,最も新しいものは7カ月近くたつていますから,いずれも手術傷としてはかなり古いものといえます。注入されたoil-wax量は,それぞれ0.8〜1.0ccとプロトコルに記載されています。ところでthalamotomyに関しては,第1図のA,Bに示されるように,両側とも目的箇所に注入されていますが,その範囲は視床のventrolateral nucleus (V-L—核)のみならず,lateralやreticular nucleusにもひろくおよんでおり,またoro-caudalにこれを追うと,medial nucleusをはじめ,他の視床核に多少ともかかつているか,またはこれを圧迫することによつてその萎縮をみています。当時は,脳波によるV-L—核のチェックが不十分で,したがつて十分な治療効果を期待するためには,より多量のoil-waxが注入されたものと理解されますがV-L—核を重点的に破壊しようとすれば,そのoil-wax量はもつと少なくし,またより正確に挿入点をねらうよういつそうの努力が必要でしよう。
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