Japanese
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特集 錐体外路系・Ⅱ
錐体外路系疾患に対する内科的治療
The Internal Treatment of Extra Pyramidal diseases
日高 虎之助
1
Toranosuke Hidaka
1
1東京上田内科教室
1Ueda's Dept. of Internal Medicine, Tokyo University, School of Medicine
pp.83-92
発行日 1959年11月1日
Published Date 1959/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901723
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はじめに
錐体外路系疾患の薬物療法は,近年化学療法の進歩に伴い,著しい発展をとげ,新しい薬剤が次々と登場して,その治療方法は一段と改善された。勿論その治療方法はいまだ対症療法の域を出ないとしても,その治療効果は患者の苦痛を軽減し,症状の進行を抑制し,又日常の活動力を増大して就業能力を向上させる等,臨床上の意義は大きい。
錐体外路系疾患は一般に慢性に経過し,きわめて多彩な症状を呈して,漸次破壊的進行を続ける結果,患者の身体の自由は次第に失われて,その精神活動も困難となり,悶々として遂には全く生きる屍の如き状態に陥るのである。この憂うべき疾患のために,今日まで甚だ多数の治療法が諸家によつて試みられ,そのいずれの治療法も卓効あるものとして推奨されてきたが,此等の大凡のものは永続的効果なく,漸次臨床上における価値を失うに至つた。しかるに1946年に新合成剤の出現となり,特に錐体外路系疾患への応用によつてその臨床上における価値が認められるに及んで,錐体外路系疾患の薬物療法は著しく発展をとげたのである。1946年先ずフランスに於てDiparcolが発表され,スイスにおいてはCaramiphenが分離され,次で1947年Promethazin,1948年Benadryl,1949年Parsidol,1953年Pagitan,Cogentinが相次いて発表された。
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