特集 第1回国際神経科学会展望
錐体外路系の病理
錐体外路系疾患の生理学的解釈と脳外科的知見について
楢林 博太郞
,
広沢 道孝
pp.444-450
発行日 1958年2月28日
Published Date 1958/2/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901610
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Panl C. Bucy:「錐体路」と不随意運動の関連について
James Parkinsonがはじめてこの疾患を記述して以来,Parkinsonみずから,またPatrickand Lewy(1922),Jakob,Horseley等はいずれも,錐体外路性異常運動の発現に,錐体路が重要な役割を演じていることを指摘している。1909のVictor Horseley以来Nazaroff,Polenow等をはじめとして,前中心回転の切除によつて,アテトーゼ運動を消失せしめうることを報告し,Kinnier Wilsonがこれを理論ずけたことはよくしられたことである。先ず,異常運動症における病理解剖学的な所見と,運動症状を発生せしめる病態生理学的なメカニズムは明らかに区別すべきである。すでにこの意味で1932にBucy and Buchananは,そしてつづいてSachsは前運動領域切除が,反対側のアテトーゼ運動の改善に資するところがあつたと報告している。
先ず「錐体路」pyramidal tractの定義からはじめよう。それは元来は延髄の錐体の中を走る下行路であるが,HaeggquistとかLassek(1954)はそれが単一のものでないことを指摘している。その中の30〜40%が前中心領域から山来するだけであり,わずかに3〜4%がBetzの細胞に由来するものであると。
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