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特集 第1回国際神経科学会展望
錐体外路系の病理
Ragner Granit:運動の調整系
The control system of movement
島津 浩
pp.438-444
発行日 1958年2月28日
Published Date 1958/2/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901609
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ここに述べられていることは運動の調整系全般にわたる問題ではなく,Granitの専門的研究領域たるγ系を中心として論じ,中枢運動系に対して今日一般に用いられている錐体路及び錐体外路という解剖学的概念が生理学的には如何にあいまいなものであるかを明らかにしている。
錐体路或いは錐体外路障害に関する臨床的な定義の中には確かに運動異常に対する診断的価値をもつているものもある。Granitはこれを全面的に否定しようとするのではないが,今日の生理学はこの古い特殊な概念の構成を余り有効だとは老えていないことを強調している。しかも生理学者自身が運動の発現機序について余りにも知る所が少いために,臨床家が直面する多くの問題が解剖学—神経生理学の外観をもつた内容的には全くの解剖学に頼つている現状を強く指摘している。
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