Japanese
English
展望 病理
組織病理学(展望と概観)
Neuropathology (a general review)
猪瀨 正
1
Tadashi Inose
1
1横浜市立大学神経科
1The Neuropsychiatric Department of Yokohama University
pp.164-167
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901530
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本誌の第1巻第1号では,この領域の世界的な動向を紹介し,さらに第2号で,近着の専門の雑誌からいくつかの業績を整理して紹介した。本来であれば,それに引続いて筆を進めるべきであろう。事実組織化学の面では,かなりみるべき業績が独逸で相いついで発表されている1)2)。また,聞くところによると,独逸を始めヨーロッパの諸国では,組織病理学的研究が非常に盛んであるというし3),米国でもその確固たる伝統が築かれつつあるようである。それに比較するとわが国の現状は,組繊病理学的研究が,再び軌道に乗つたとは云え,まだ隆盛とは云い難い。第一には,病的材料の蒐集と整理の困難と不充分であつて,われわれの間ではそれがいかに不完全であることか。この点,外国を訪れた学者は恐らく痛切に感ぜられるであろう。また専門の組織病理学者が生涯をかけて,仕事を続けることができるようなシステムがまだできていないことも大きな缺陥の一つであると思う。このような條件を克服しながら,新しい発展の方向を現実に求めなければなるまい。
さて,今回は最近の業績の展望から些か離れるが,戦後独逸の再建の出発点にあたつて,Scholz教授が行つた組織病理学的研究の回顧と将来に関する講演4)の内容をとりあげて,それに些か私見を加えて述べてみようと思う。
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