特集 インストラクショナルデザインを活かす
インストラクショナルデザインを概観する
合田 美子
1
,
鈴木 克明
1
1熊本大学教授システム学研究センター
pp.6-12
発行日 2018年1月25日
Published Date 2018/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200896
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インストラクショナルデザインとは何か?
授業をしていて,「学生がつまらなそうにしている。もっと楽しそうに熱中して学習してもらえないものか」「学びをもっと実践的にしたいのだが,どうしたらいいか」「教材がわかりにくいと言われるけど」など,何かしら困ったことはないだろうか。または,「何かがうまくいっていないようだが,何をどう変えたらいいのかさえわからない」とお手上げということはないだろうか。インストラクショナルデザイン(以下,ID)では,これらの授業で困っていることを解決するための手法や考え方を提供している。また,「今日はすごくうまくいったな。でも何がうまくいったのだろう」とつぶやくとき,授業が成功する要因を整理するために使うこともできる。成功する要因がわかれば,他の授業にも応用できるはずである。
IDとは「教育活動の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野,またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセス」1)と定義される。ID研究者は,教育や学習に関連する理論や研究成果をベースに教育改善のための道具をブラッシュアップし,新しい道具をつくり提供している。そして,教育実践者は,IDの道具を使うことで,学習者が余分な時間や労力,コストを使わず(効率的に),楽しんで学び続け(魅力的に),確実に学習目標に達成する(効果的に),授業を行うことができる。
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