Japanese
English
展望 生理
知覚神経衝撃の発生とその遠心性制御
Initiation of sensory impulses and its efferent regulation
佐藤 昌康
1
M. SATO
1
1熊本大学医学部生理学教室
1Dept. of Physiology, Univ. of Kumamoto
pp.147-150
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901528
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微小電極法を応用した神経生理学の最近の発達は,中枢の神経細胞,シナップス,神経筋接合部,知覚受容器における現象を明かにし,これらの複雑な組織においても末梢神経線維の形質膜における過程と似かよつたことが起つていることを示し,そのために末梢神経線維の生理を専門にしている我々の如き生理学者にとつても中枢神経系や知覚受容器の生理が複雑にして遠い領域でないという親近感を抱かせるにいたつたようである。たとえばEcclesの"The neurophysiologicalbasis of mind"1)を見るがよい。そこには大脳皮質や脊髄におけるいろいろの現象が,末梢神経線維についてえられたHodgkinなどの実験事実や学説にもとずき,神経細胞の形質膜におこる過程として取扱われている。このように末梢神経線維における興奮,伝導の法則によつて中枢神経系統にみられる興奮,伝導,加重,抑制などの現象を明らかにしようという立場は,既にKeithLucasが1917年にその著書"The conductlon ofthe nervous impulse"2)にのべているところである。また微小電極法の応用によつて知覚器から知覚神経衝撃が発生される過程が直接的に研究され,そのメヵニズムが極めて明かになると共に,知覚器の遠心性制御のメカニズムも明かとなつた。
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