1．統計学概観

A General View of Statistics.

　医学分野での統計学

　スネデッカーの教科書¹⁾では，統計学の定義を「データを集め，解析し，結論を導く方法を研究する学問」と定義している．これを見ると，データに基づき知見を拡げていく自然科学では必須の方法であるといえる．医学の分野にepidemiologyという学問があるが，その定義は「病気の分布の研究，その分布の規定因子の研究」としている²⁾．「clinical epidemiology」³⁾は臨床場面で現れるデータについて，それを正しく処理する方法を論じていて，まさに「医学統計学」というに相応しい．

　ところで，医学分野での研究では，実験，調査データが得られた，さて「どのように解析したらよいか」というのが普通の統計学との出会いの場面であろう．そこで，このシリーズでは統計学の理論を論ずるのではなく，実用的なデータ解析の方法と考え方を中心的な課題として論じていきたい．