組織細胞化学・1
組織化学および細胞化学概観
三友 善夫
1
1東医歯大・病理
pp.632-633
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906829
- 有料閲覧
- 文献概要
組織化学(Histochemistry)および細胞化学(Cytochemistry)は,組織ないし細胞の構造を基盤として,組織や細胞の物質代謝などの生化学的状態を顕微鏡レベルで追究する学問である.これは形態学と分析化学の2つの分野から発展し,しだいに結合したものとみなされる.そして,組織や細胞内に存在する物質の化学的性状と,その存在部位の確定が目的である.
Raspail(1830)によって1つの学問として体系化され,発展の途をたどるのであるが,まず組織や細胞内に見いだされる褐色色素に関して鉄が認められ,Haernatoidin(Virchow,1847),Hae-mosiderin(Neumann,1888,Haemofuscin(VonRecklinghausen,1889)などと呼ばれ,また黒色色素にはMelanin(Langhans,1870,Berdez&Nencki,1886)の名称がつけられ,Perls(1867)やQuinke(1895)が組織内の鉄証明法を示し,骨髄系白血球の判定に用いられるPero-xidase反応がKlebs(1868),Struve(1872)により見いだされ,酵素の組織細胞化学的研究もMiescher(1871),Stirling(1875),Ehrlich(1879),Kossel&Mathews(1898)らによって始められるのであるが,1900年ごろより色素による組織染色が発達し,化学反応を主とする組織化学は一時的とはいえ,形態学を離れて生化学の発展へ貢献するのである.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.