Japanese
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特集 代謝障害と神経疾患
高張糖液靜注による痙攣脳波及Leãoの現象の出現こその臨牀的意義
Intravenous Injection of Hypertonic Glucose and Evocation of Seizure Discharge and Leão's Spreading Depression in EEG
島本 多喜雄
1
,
小西 藤治
2
Takio Shimamoto
1
,
Konisi Touji
2
1東京医科歯科大学
2東京医科歯科大学臨床生理部
1Internal Medicine, Tokyo Medical and Dental Univ.
pp.59-68
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901523
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まえがき
高張糖液の静脈内注射は申すまでもなく,その栄養学的な見地の外に,その高滲透圧を応用して組織液の血管内への吸引,従つて脳浮腫等組織浮腫の除去乃至は脳圧低下を狙つて広く応用せられ,適当なる対象に適当な量を使用する場合においては殆ど何等の危険性に対する顧慮なく従来応用されて来た。しかしこの応用に対して実地医家の中からも,極く稀ではあるが不慮の重篤症状の起ることが伝えられてはいた。
昭和29年以来,筆者らは意識障害を伴う如き重症症例に対する各種治療手段の脳波を用いる再検討をはじめたが,その時疫痢患児に20%糖液の40CCの静脈注射を契機として,脳波所見に痙攣波の出現をみた。筆者は一応このことを偶然の出来ごとであろうと考えたが,以来慎重に観察を進め,明に高張糖液静注を契機として出現すると考えざるを得ざるに至り,小西I)と共にこれを報告した次第であり,また治療上重大な意義を有するものとして注目した。その後九州大学の遠城寺教授II)は梅野博士と共に,余らの知見を追試せられ,疫痢のみならず所謂自家中毒症においても高張糖液注入により同様の事実が起ることを最近報告せらるるに到つた。
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