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嗅覚障害に対するアリナミン靜注使用の臨床的考察
大沢 林之助
1
,
南條 昭一
1
1東京逓信病院耳鼻咽喉科
pp.513-519
発行日 1957年6月20日
Published Date 1957/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201806
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嗅覚の本態は未知の事が多く,従つて嗅覚障害の適切有効な治療法もない現状で,特に真性末梢性嗅覚障害は絶望視されていた。一方文化生活には嗅覚は欠くべからざるものである。
我々は,我が国で発見されたThiol型ビタミンB1の新しい誘導体の一つであるアリナミン(以下「ア」)が,静注時極めて強いニンニク臭(以下「ニ」臭)を一時的に起す事を利用し,嗅覚障害の診断,治療及び予後の判定に役立つか否かを調べた結果,血行性嗅覚の問題も含めて,若干の興味ある知見を得たので茲に報告する。尚「ア」が従来のVB1と異り,脂溶性ビタミンであり,組織親和性,細胞内滲透の容易等の点で優れた特性を持つ事等は周知なので詳細は省略する。
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