Japanese
English
特集 代謝障害と神経疾患
脱髄現象の脂質代謝
Fat Metabolism and Demyelination
祖父江 逸郎
1
,
松井 務
1
,
渡辺 恭昭
1
Itsuro Sobue
1
,
Tsutomu Matsui
1
,
Yasuaki Watanabe
1
1名古屋大学医学部内科第一講座
11st Dept. of Internal Medicine Nagoya University School of Medicine
pp.35-58
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901522
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
近時我国に於ても,1)〜10)多発性硬化症,(以下多硬と略す)Devic氏病,種痘後或いは麻疹後脳炎及び狂犬病予防接種後脳炎等を中心とする脱髄疾患群が神経学上のみならず,一般臨床家の間にも話題となり,兎角痛烈な批判を浴びて来たCharacot's triasを有する古典的な多発性硬化症に対する疾患概念の展開,或いは之等の諸問題に触れて多硬の我国に於ける存否,又脱髄疾患群としてのDevic氏病の存在,最近抬頭して来た脳アレルギーからの諸見解等より,脱髄現象の病理臨床に対する幾多の論議が繰返されて来たのである。
元来脱髄なる語は病理組織学的概念に基くものであつて,神経組織の髄鞘脱落を意味するものである。一般に神経組織の器質的変化の際には,多少他の変化と共に髄鞘の変化をみるものであるが然し此処で用いる脱髄現象病理的,臨床的にも多少特異な点を有し,軸索や神経細胞が比較的よく保存されているにも拘わらず髄鞘のみが一次的に分解脱落する,病理組織反応(dissciation axo-myélinique)を原則的に意味するものである。
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.