Japanese
English
展望 解剖
解剖と生理との境界について
On the boundaries of Anatomical and phisiological research in the Central Nervous System
小島 德造
1
Tokuzo Kojima
1
1福島県立医科大学解剖学教室
1Department of Anatomy, Fukushirna Medical Collage
pp.134-137
発行日 1956年4月15日
Published Date 1956/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901508
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中枢の伝導路 即ち,線維結合は古くから解剖学では重要な課題となつている。有髄神経線維の追求には,Pal-Carminの連続切片でみる方法,二次変性でみるMarchi法,逆行性変性でみるNiBI染色法などがあつて,現在までの中枢神経線維の解剖はこれらの方法で一応大成されたものと云つても過言ではあるまい。しかも,このようにして見出された伝導路そのものが一面生理的意義を含み,解剖と生理との見事に一致した研究とされている。しかしここで注意しなくてならないことは,無髄線維の伝導路が殆ど訳明されていないことである。現在なお,最も有効な手段とされている鍍銀法(Golgi-Cox,Bielschowsky,瀬戸氏法など)でもつてしても,結論において,不明の言葉に尽きているといえよう。
このようないわゆる解剖学的方法による線維結合の研究に対して,生理学的方法としては,先ずDusse de Barenneの,Strychnineを用いて正流的(orthodromic)に起させたspikeによる,Neuro又はNeuronographyを作る方法が挙げられる。更にまた,電気刺激により,遠心性の場合は逆流的antidromicにresponseを起こさせ,求心性の場合には,いわゆる誘発電位evoded potentialを起させる方法などが一般に用いられている。
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