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特集 神経系疾患の診断法
筋電図—臨床応用とその限界
Electromyography-Clinical Application and the Extent of Its Utility
島津 浩
1
Hiroshi Shimazu
1
1東京大学生理学教室
1Department of Physiology, Medical Faculty, University of Tokyo
pp.53-71
発行日 1956年1月15日
Published Date 1956/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901482
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I.はじめに
筋電図による診断がわが国で広く臨床的に応用されるようになってから僅か数年の間にそれは飛躍的な発展をとげた。今日では内科,外科,整形外科,神経科,小児科,耳鼻科,眼科等殆んどすべての臨床領域で神経―筋系疾患の診断法の一つとして筋電図が必要欠くべからざるものであることは臨床医家の常識となりつつある。従って筋電図による臨床診断法についてもすでに成書あるいは多くの文献に詳細な記載があるのでここに改めて述べることはやめる。ただ如何なる診断法にも必ずその限界があり,これを越えて一つの方法に頼りすぎるときは大きな誤りを犯す危険がある。筋電図が神経―筋系疾患の診断法として如何に有効な領域をもつているにせよ,これを唯一の診断の根拠にすることは出来ないし,その利用方法についても,また生理学的な基礎に関しても厳しい反省を要する時期に達しているように思われる。
このことは決して筋電図の応用範囲を狭めることではなく,むしろかえって筋電図に対する誤解―例えば筋電図をみれば何でもわかるという誤解,あるいは筋電図の専門家はそう考えているという誤解―を解き,その正しい発展を進める道であると思う。
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