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アルツハイマー病は老人における痴呆症の中でもっとも多い疾病である。原因遺伝子は染色体21にあるアミロイド前駆体蛋白のほかに,染色体14にあるプレセニリン1が同定されている。さらに,このプレセニリン1類似遺伝子としてプレセニリン2が染色体1の上に発見された。これら三つの遺伝子はいずれも早期発症型家族性アルツハイマー病を引き起こすことが知られている。プレセニリン1は467個のアミノ酸からなる疎水性の性質が強い膜蛋白であり,計算上七つの膜貫通領域をもつ。同様の構造はG蛋白結合の膜蛋白に共通するモティーフであるが,現在のところそのような証拠は得られていない。抗体を用いたウェスタンブロット法によるプレセニリン1蛋白の同定により分子量約44,000の蛋白が見出されている。脳内プレセニリン1の同定は免疫交差反応の問題と量的な点で必ずしも十分な証拠が蓄積しているわけではないが,最近特異的モノクローナル抗体やヒトプレセニリン1cDNAを移入したトランスジェニックマウスの作成により多くの所見が得られつつある。さらに,最近プレセニリン1の熱不安定性が見出され,プレセニリン蛋白同定の一助となっている。プレセニリン蛋白の研究はまだ始まったばかりであるが,それでも興味ある知見が明らかにされつつある。プレセニリン1断片の発見はその一つである。
Alzheimer's disease (AD) is the most common cause of progressive intellectual failure in aged people. In addition to APP localized on human chromosome 21, the major causal gene of early-onset familial AD was identified as presenilin 1 (PS 1) localized on 14q24.3. The final identification of PS 1 as the causal gene for Alzheimer's disease was concluded based on finding of the point mutations in the candidate cDNA linked with pedigrees with early-onset familial AD. PS 1 is predicted to encode a 467 amino acid protein from the deduced ORF of the cDNA.
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