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はじめに
細胞死は細胞の増殖・分化・癌化とならび近年もっとも進歩の著しい細胞生物学の研究対象の一つである。細胞死は老化の帰結としての自然死という意味ではなく,生きものが発生過程で形態を形成したり,染色体DNAに修復不能な損傷を受けた細胞を排除し,免疫系においては自己免疫を防ぐために自己の記憶を消去したりする過程で積極的な役割を果している。神経系の回路網の形成においても細胞死は不可欠であると考えられている。このように生物学的に重要な意味をもつ細胞死の分子機構は最近著しく解明が進んできた。とりわけリンフォカインやニューロトロフィックファクターによって制御されている細胞内情報伝達機構の研究の発展は,細胞死のシグナル伝達を分子レベルで理解することを可能にしつつある。本稿では,これらのサイトカインによる細胞死の促進と抑制のシグナル伝達機構を概説し,今後の研究動向をできる限り見通してみたい。
A pivotal role of neurotrophic factors and their receptors in neural cell survival and differentiation has been well established especially from the studies of knockout mice of these genes. Among PNC, severe neuron loss was observed from superior cervical ganglion and DRG in NGF/trkA knockout mice and from vestibular in BDNF/trkB knockout. Neurotrophic factors activate Trk receptors tyrosine kinases, thus trigger ras/raf-1/MAPK cascade. This cascade induces accumulation of bcl-2 protein, which is a negative regulator of apoptotic cell death.
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