Japanese
English
特集 睡眠と睡眠障害
睡眠臨床研究の進歩
Recent advance in clinical sleep research
高橋 清久
1
Kiyohisa TAKAHASHI
1
1国立精神・神経センター武蔵病院
1National Center Hospital for Mental, Nervous and Muscular Disorders
pp.6
発行日 1995年2月10日
Published Date 1995/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431900613
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1.睡眠臨床研究発展の背景
近年,睡眠の臨床研究の発展には目ざましいものがある。その背景にはいくつかの要因が考えられる。まず,1)脳機能としての睡眠・覚醒に関する神経科学的研究の発展がある。それによって睡眠の機構の詳細が明らかにされたことである。2)それと関連するが時間生物学の研究がある。それまでは睡眠の研究といえば夜間睡眠が中心になっていたが,睡眠覚醒を1日のリズムとして見る見方から睡眠研究が一層進展した。3)多くの精神疾患にはまず不眠が初発症状として認められる。また,レムおよびノンレム睡眠の出現には特定の神経伝達物質が関係している。それらのことから精神疾患の原因の解明や病態の評価,あるいは診断やサブタイプの同定に役立てようという睡眠研究も活発に行われるようになった。また,4)睡眠障害の増加という実際的な現実が睡眠研究の活発化を促したと言う要因がある。それには社会構造の変化,価値観の多様化,生活スタイルの変化などの理由が挙げられるが,もっとも大きい要因は高齢化であろう。加齢とともに睡眠の質は低下するが,それに加えて退職後のライフスタイルの変化がそれを加速している。
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