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はじめに
内因性精神病は,精神分裂病と躁うつ病に大別されるが,これらの疾患では高頻度に睡眠障害を伴うことが知られている。また,幻覚や妄想などの病的体験が,夢と類似性を有することも関係して,内因性精神病を対象とした睡眠研究は古くから行われてきた。1953年にREM睡眠が発見され3),さらにその後,REM睡眠が夢と密接に関連していることが報告される11)と,睡眠ポリグラムを用いた内因性精神病の睡眠研究が精力的に行われるようになった。こうした研究により,精神分裂病や躁うつ病では徐波睡眠(SWS)の減少やREM睡眠潜時の短縮などさまざまな睡眠異常がみられることが明らかにされてきた33,45),さらに近年では,このような睡眠異常が,精神分裂病や躁うつ病の病態あるいは成因とどのような関連があるのかについても論じられるようになってきた。また,睡眠を時間生物学的観点からとらえることにより,新たな知見も得られてきている。
本稿では,精神分裂病と躁うつ病の睡眠障害について,おもに睡眠ポリグラムを用いた研究結果を紹介し,そこで報告されている睡眠異常とこれらの疾患の病態や病因との関連性について解説する。また,躁うつ病の睡眠障害に関しては,リズム異常仮説に基づくいくつかのモデルを提示し,それらの妥当性について概説する。
Electroencephalographic (EEG) sleep abnormalities in endogenous psychosis, including schizophrenia and mood disorders, are described. The relationship between the sleep abnormalities and the patho-physiology or the etiology of these psychoses are discussed. In schizophrenia, several polysomnographic (PSG) abnormalities have been reported ; these include reduced total sleep, impaired sleep continuity, reduced slow wave sleep (SWS) or reduced delta activity, shortened REM latency, and less REM rebound following REM deprivation.
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