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特別寄稿
日本の精神医学・医療研究の現状と課題―特に研究費の側面から
The Present State of Psychiatric Research in Japan with Special Reference of Research Expense
高橋 清久
1
Kiyohisa TAKAHASHI
1
1藍野大学
1Aino University
キーワード:
Psychiatry
,
Mental Health
,
Research expense
,
Bio-psycho-sociological research
Keyword:
Psychiatry
,
Mental Health
,
Research expense
,
Bio-psycho-sociological research
pp.321-330
発行日 2005年3月15日
Published Date 2005/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100037
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わが国の精神医学・医療研究の歴史は古いが,比較的豊富な研究費の下に研究が体系化されてきたのはごく最近のことである。また,研究が目指す方向性をみても,これまではかたや精神病理学的研究があり,こなた生物学的研究があり,その双方ともに診断・治療・支援など真に当事者やその家族に役立つ研究という視点は乏しかった。その多くは研究者の興味のおもむくままに研究が相互の関連なく行われてきていたという観がある。やっとこの10数年の間に,診断と治療のためのガイドライン研究や精神疾患の予防研究,介入疫学研究など主として厚生労働科学研究事業や精神神経疾患委託費班研究の活動を中心として,臨床に役立つ研究を行おうとする機運が生まれてきた。特に最近,厚生労働科学研究事業に大型の研究費がつき,その中で行政的研究も含めて,精神医療の現場に還元し得るような研究が進められているのは喜ばしいことである。
本稿では,主として研究費や研究体制の面から,わが国の精神医学・医療研究の現状を分析し,今後の方向性について論じてみたい。
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