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お金も出さない代わりに口も出さず(したがって結局,何もしないで),名前だけで日本学術会議が主催するとなっているこの「脳のシンポジウム」は,本年まで40年間一度も休むことなく続いてきた。これはひとえに,各シンポジウムを実際に企画・運営して下さった歴代の世話人の先生方のおかげである。今回は,名古屋大学大学院医学系研究科・脳神経外科の𠮷田 純教授のお世話により,平成17年3月12日と13日の2日間にわたって,名古屋大学の医学系研究科研究棟地下の静かな雰囲気の中で開催された。残念だったのは,またしても,聴衆がやや少なかったことではあるが,フロアーからの活発な質問に救われたのは有り難かった。特に,大変に鋭く的を射た学生さんの質問に,一同感心したことをここで強調しておきたい。
さて,今回は文字通り記念すべき第40回目であるので,このご挨拶でも,40年前の第1回目のシンポジウムについて述べたいと思う。第1回目は東京で,昭和40年2月13日に行われた。開会の挨拶は東北大学長の本川弘一先生である。『脳のシンポジウムは,(中略)脳の特定研究の研究班と学術会議の脳研究連絡委員会の共催するものでございます。(中略)この特定研究は,特別に報告会といったようなものを持っておりませんので,シンポジウムの形でまとめて話し合いをしたほうが,より効果的ではあるまいかという関係者の意見が多かったので,シンポジウムを開くことになりました。』と,このシンポジウム発足の経緯を述べておられる。さらに,『このシンポジウムの成果は印刷にいたしまして,「神経研究の進歩」に掲載される予定です。(中略)出席なさらなかった方々に読んでいただくようにお勧め願いたいと存じます。』と述べられており,第1回目から,現在のシンポジウムの形が確立していることがわかるのである。その内容も,現在とほぼ同様に4つの主題が選ばれていて,脳研究の方法論をめぐって,ニューロンをめぐって,視床下部をめぐって,および睡眠をめぐって,の4主題である。各主題に数人の演者が選ばれているが,例えば脳研究の方法論では,草間敏夫,勝木保次,塚田裕三,白木博次,台 弘,南雲仁一の各氏といった,キラボシのごとき諸先生方が演者である。40年後の今日,懐かしいお名前ばかりであるが,当時はおそらく50歳前後のバリバリの研究者であった方々である。
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