連載 患者さんに「寄り添って」話を聴くってどういうこと?[1]【新連載】
つらい気持ちを聴きだそうとしてはいけない患者さんがいること
清水 研
1
,
白波瀬 丈一郎
2
1国立がん研究センター中央病院精神腫瘍科
2慶應義塾大学病院精神・神経科
pp.314-318
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200299
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連載を始めるにあたって
「寄り添う」という言葉は、臨床現場でよく使われる用語だと思う。自分もよく使っていた。きっと医療者にとって「そうありたい」というイメージに合致する言葉なのだと想像するが、あらためて「『寄り添って』話を聴くってどういうこと?」と尋ねられると、説明するための言葉に詰まってしまう。そこで、「寄り添う」という言葉の語源をいろいろと調べてみたり、詳しそうな人たちに尋ねてみたりしたのだが、今のところその正体はわからず、それらしい定義も見当たらない。どうやら、この「寄り添う」ということは簡単には説明できないようだ。
だが、私自身は「寄り添いたい」という漠然としたイメージを心の中にもちながら臨床で苦心するなかで、支持的精神療法1の方法論が、私が患者さんに「寄り添う」ためのいくつかの方向性を示してくれたように感じている。そこで、この方法論を援用しながら、「寄り添う」ことについて考えることは、私と同じように日々の臨床で苦心している方々にとってなにか役に立つのではないかと思い、本連載を開始することになった。
なお、本文中では私、清水が困っている医療者のコンサルタントとして登場するが、解説が独りよがりになってしまわないかとの懸念があった。そこで日ごろからアドバイスをいただいている白波瀬丈一郎先生からテーマの「補助線」となるコメントを加えていただいた。
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