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はじめに
國頭 ご存じの通り、私は日赤看護大学で1年生を対象にコミュニケーション論のゼミを行なっています。これは『死にゆく患者と、どう話すか』(医学書院)に講義録としてまとめ、2016年10月に出版しました。このシリーズは、その講義録のスピンオフ企画と思ってください。
今回のテーマは、がん医療では避けられない終末期についてです。『死にゆく患者と、どう話すか』でも「DNR」の項目はかなりのスペースを割いて議論しています。ちなみにDNRとは“Do not resuscitate”、つまり心肺停止などの状況になったときは蘇生努力をしないでくれ、という意思表示ですね。「しないでくれ」もなにも、がんの末期なんかで、そもそも蘇生できないもしくは適応がない場合は、「DNAR」(“Do not attempt to resuscitate”)として別扱いにすることもあります。
とはいえ、「その場」になってみると家族も慌てますし、医療者もつい手が先に出て心肺蘇生をやってしまって、患者の意に反するとか、かえって悲惨な結果を招く、ということも多いのが現状です。これを防ぐためにあらかじめ、いざというときにはこうなったらこうしてもらおう、という計画を立て、それを書面に残すべきだ、という考え方が有力になっています。これをアドバンス・ケア・プランニング(advance care planning;ACP)といい、残す書類が事前指示書です。
レイとチカには、それこそ「あらかじめ」この事前指示書およびACPについて勉強してもらっています。私からは二人に日本集中治療医学会倫理委員会の委員会報告(日集中医誌2017;24:216-226)を渡しました。
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