連載 ID consult—がん患者の感染症診療[7]
術後腹膜炎
河村 一郎
1,2
1JOIS(Japanese Oncological Infection Society)
2大阪国際がんセンター感染症センター/感染症内科
pp.138-142
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200267
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はじめに
今回は、がん患者の術後腹膜炎(腹腔内膿瘍を含む)を取り上げる。術後腹膜炎は手術に関連する外科感染症で、術後早期に起こる場合は術中汚染によるもので、それ以降に起こる場合は吻合部縫合不全が原因であることが多い1。治療は感染巣のドレナージや解剖的機能の修復など外科的治療(ソースコントロール)が基本であり、時に抗菌薬治療が補助的に用いられる2,3。
こうした術後腹膜炎の診療において、外科医から感染症コンサルテーションを求められる場合がある。その主な内容はTable1に示したように、原因菌の推定、抗菌薬の選択・治療期間に関する相談である。
本稿では、感染症医の視点から、前半で術後腹膜炎の原因菌や抗菌薬治療について概説し、後半で同内容をテーマとしたJOIS勉強会(2012年6月23日開催)で取り上げられたケースを紹介・解説する。
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