連載 目から鱗のがん薬物療法—薬学的視点からみたケーススタディ[8]
薬剤師によるカウンセリング—意思決定への貢献と研究を通じて
川口 崇
1
1東京薬科大学医療実務薬学教室
pp.143-146
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200268
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研究もされている薬剤師によるカウンセリング
・昨今のがん薬物療法における薬剤師の役割は、従来行なわれている医薬品の管理・供給に加え、ベッドサイドでのさまざまな業務にまで展開するようになっています。また、薬学領域の研究においても、医薬品の特性に関する研究だけでなく、患者を対象にした研究も実施されるようになってきました。人を対象とする医学系研究に関する倫理指針、改正個人情報保護法などへの対応は、医学と薬学の領域に違いはなく、特に前向き研究の実施は簡単ではありません。
・当教室は、東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野、東京大学大学院医学系研究科臨床試験データ管理学講座との共同研究として、薬剤師が実施する臨床研究を支援しています。共同研究の一環として、薬剤師のカウンセリングに関して、Ottawa Hospital Research Instituteの許可を得て、意思決定の葛藤尺度(decisional conflict scale;DCS)の日本語版を開発し、薬剤師による服薬説明の前後で、患者の意思決定がどのように変化するかを検討する前後比較試験を行ないました1。更には、薬剤師によるカウンセリングに対して、患者がどのような選好傾向(好み)があるかを明らかにしました2。本稿では、この取り組みを通じて得られた視点を述べたいと思います。
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