Japanese
English
特集 感染症と腎疾患
透析患者の感染症
腹膜炎(腹膜透析)
Peritoneal dialysis related peritonitis
松尾 七重
1
MATSUO Nanae
1
1東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科
キーワード:
PD腹膜炎
,
外因性
,
.内因性
,
水生環境菌
Keyword:
PD腹膜炎
,
外因性
,
.内因性
,
水生環境菌
pp.818-821
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001365
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はじめに
わが国の腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)療法離脱の原因として,2008~2009年にPDを施行した日本のPD患者1,338例を対象とした前向き研究の結果では,PD腹膜炎が17.6%と第2位であり1),腹膜炎を予防することはPD長期継続の重要因子である。また,PD腹膜炎は腹膜劣化の一因とされ,PD液の中性化によりPD患者の腹膜の炎症細胞は著減したものの,PD腹膜炎の患者の腹膜では,特に表層に炎症細胞の増加を認める(図)。今日においても,被囊性腹膜硬化症(encapsulating peritoneal sclerosis:EPS)の発症予防の観点からも,PD腹膜炎の予防は重要と考えられる。これまで,バッグ交換時のタッチコンタミネーションを回避するためのPD液のツインバッグシステム・デバイス接続など,腹膜炎の発症予防を見据えた改良が重ねられてきた。しかし,2018年末のPD腹膜炎発症率は0.19回/1患者・年で2),最近の10年は発症率が変わっていない。また,わが国の腹膜炎発症率は諸外国に比較して良好であるが,腹膜炎罹患後のPD継続率(67.4%)2)は諸外国3)と変わらない。PD長期継続のためには,PD腹膜炎の発症予防と発症後の治療成績の向上の双方が重要である。
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