Feature Topic みえない副作用
症状別「みえない副作用」のアセスメント
患者が言い出しにくい副作用—性機能・性行為
渡邊 知映
1
1上智大学総合人間科学部看護学
pp.73-75
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200160
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性機能障害は「複雑」「みえない」「表れない」
がんの臨床で考慮するべき性機能障害には、主に原疾患に伴う症状と手術療法、薬物療法、放射線療法に伴うものがある。がん治療に伴う性機能への影響は、今回のテーマである「みえない副作用」の最たる例といってもよいだろう。そして、副作用をみえないものにしているのは、患者よりも医療者自身であるのかもしれないことも課題である。
2013年に改訂されたDSM-5では、女性の性機能不全の独自性が見直され、女性の主観的体験を重視した概念として新たに性的関心・興奮障害が加わり、性交疼痛には女性特有のものとして性器—骨盤痛・挿入障害という基準が含まれた1。このように、男性の勃起障害(erectile dysfunction)とは異なり、女性の性機能障害(female sexual dysfunction)は単に性行為が可能かどうかで評価するのではなく、その患者にとっての包括的な性的満足度が満たされているかという視点に立って評価することが重要である。特に、がん治療に関連した性機能障害は、治療関連要因や心理的要因、パートナーとの関係性などといった影響要因が複雑に関係し、個別性が高い。たとえ治療の影響により程度器質的な障害が生じていたとしても、そもそも患者とそのパートナーにとっての性生活の重要性によっても問題が顕在化するかどうかが異なることを、まず大前提に考える必要がある。
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