特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門
【総論】
「発達障害(神経発達症)」アップデート
青木 省三
1,2
,
鷲田 健二
2
,
和迩 健太
3
1公益財団法人慈圭会 慈圭会精神医学研究所
2公益財団法人慈圭会 慈圭病院
3川崎医科大学 総合医療センター心療科
キーワード:
発達障害
,
神経発達症
,
社会的コミュニケーション
,
こだわり
,
多動−衝動性
,
不注意
Keyword:
発達障害
,
神経発達症
,
社会的コミュニケーション
,
こだわり
,
多動−衝動性
,
不注意
pp.1036-1040
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204438
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
概念と診断
1943年にKannerによって提唱された「自閉症」は、米国精神医学会のDSM-Ⅲ(精神疾患の診断・統計マニュアル 第3版、1980)では「乳幼児自閉症」、ICD-10(国際疾病分類 第10版、1992)やDSM-Ⅳ(1994)では「広汎性発達障害」、DSM-5(2015)では「自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)」(p.1041・1065)と、名称を変えてきた。
DSM-Ⅳの広汎性発達障害のなかには、「自閉性障害」「アスペルガー障害(p.1075)」「小児崩壊性障害」などの下位分類があったが、DSM-5以降、これらの下位分類は連続した“スペクトラム”のなかにあると考えられ、「自閉スペクトラム症」と呼ばれることになった。DSM-5以降のASDの診断基準は、「社会的コミュニケーションおよび対人関係の障害」(言葉や言葉以外のもので、相手の考えていることを理解したり、自分の考えを伝えたりすることが苦手、など)と「行動・興味・活動の限局された反復的なパターン」(こだわり)を満たすものとされている1,2)。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.