ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学・5
ご遺体への問診
森田 沙斗武
1
1大阪はびきの医療センター 臨床法制研究室
pp.986-989
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204423
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Case
患者:72歳、男性。妻と2人暮らし。
既往歴:2型糖尿病、高血圧症、狭心症
病歴:1年前に、当院にて狭心症に対するカテーテル治療を施行後、フォロー目的で3カ月に1回ほど通院していた。また自宅近くのかかりつけ医に、2型糖尿病と高血圧症で定期受診されていた。比較的アドヒアランスはよく、血圧140/90 mmHg程度、HbA1c 6.8%程度を推移していた。
某日の朝、別室で眠っていた妻は7時頃に起床。夫が8時になっても起きてこないことを不審に思い寝室を見にいくと、ベッド脇にうつ伏せで倒れていた。8時10分に救急および警察覚知、19分には救急隊が現場に到着したが心肺停止状態。救急救命処置を行いながら搬送し、8時42分に当院到着。救急救命処置を継続するも、蘇生しなかった。午前9時32分、当院にて死亡確認された。
10時30分、警察に異状死の届出を行ったが、すでに警察による現場検証が完了し、事件性はないと判断したとのこと。そのため、「可能なら、かかりつけ医と相談して死体検案書を書いてほしい」と依頼された。担当した救急医は、「病院外で亡くなったのに、そんなもの書けるわけがない!」と立腹。当院から連絡を受けたかかりつけ医は「それなら仕方ありませんね」と言いながら、13時頃来院し「死因:虚血性心疾患」と記載した死亡診断書を作成した。病院主治医としては、一連の対応がこれでよかったのかどうか、釈然としなかった。
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