【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第3話
急変させない医者
國松 淳和
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1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.767-773
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202672
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
筧は、黒野の奇妙な能力に気づいていた。時間を戻すことができる。こんな映画や小説のような非科学的なことができるわけないと思いつつも、黒野は否定しなかった。筧は昔、自分のミスで患者を失ったことがある。その記憶と実感はあるのに、その事実がないことにずっと違和感を持っていた。そして前回、黒野が勧めるステロイド投与をためらった筧は、再び自身の患者を失ったはずだったが…。なぜ黒野は、肺炎と思しき患者へのステロイド投与を示唆したのか?
私たちは、研修医の頃から「鑑別疾患」を羅列することに腐心してきた。実際に患者を目の前にした状況で、それをすることは実は難しい。知識さえあれば想起できるわけではないからだ。「鑑別診断」とは何か? その時、医師に必要とされる能力とは?
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