特集 —ノーモア見逃し—日常の検査と画像に潜むピットフォール
【検査結果での落とし穴と限界】
血清ビタミン濃度
篠浦 丞
1
1国際医療福祉大学 医療マネジメント学科
キーワード:
ビタミンB1欠乏による心不全と精神症状
,
ビタミンB12・葉酸欠乏による貧血と末梢神経障害
,
ビタミンC欠乏による皮下出血
,
亜鉛欠乏による認知症、皮膚病変と下痢
,
銅欠乏による認知症と四肢脱力
Keyword:
ビタミンB1欠乏による心不全と精神症状
,
ビタミンB12・葉酸欠乏による貧血と末梢神経障害
,
ビタミンC欠乏による皮下出血
,
亜鉛欠乏による認知症、皮膚病変と下痢
,
銅欠乏による認知症と四肢脱力
pp.934-939
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202204
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Case
患者:22歳、女性。
既往歴:うつ病(セルトラリン内服)。
現病歴:受診9カ月前より下腿浮腫、下肢から始まるしびれ(ビリビリ感)が出現、ビリビリ感はやがて上肢にも及んだ。さらにかすみ目が受診1カ月前から始まった。近医を受診しビタミンB12低値のため経口補充が行われ、血液検査上は改善していた。身体所見上四肢振動覚が低下、血液検査上貧血はないが、MCV : 101.6fL[正常値(以下、すべて):76〜100]、VB12 218pg/mL(197〜866)、葉酸5.3ng/mL(4.0〜18.7)であり、内視鏡異常なし、抗内因子抗体抗、壁細胞抗体いずれも陰性であった。四肢のしびれは持続しており、MRI(diffusionT2 FLAIR)を施行したところ頸髄〜腰髄にかけて(C2-Th11)後索側索の信号異常著明、ホモシステイン値21.3μmol/L(5〜15)、メチルマロン酸(MMA)7.8mg/g・Cr(0.9〜2.7)であった1)。神経症状とMRI異常を伴い、ホモシステイン値とMMA値上昇を呈するビタミンB12欠乏症と診断し、ビタミンB12 1mg筋注1日おきを開始、その後神経症状は軽快、MCV正常化、MRI所見も改善した。
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