今月の主題 カルシウム代謝と骨
カルシウム・骨代謝の調節系
血清カルシウム濃度の調節系
松本 俊夫
1
,
尾形 悦郎
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.1482-1484
発行日 1988年9月10日
Published Date 1988/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221822
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血清カルシウム(Ca)のうち,ホルモンなどにより調節を受け,細胞機能の維持・調節上必須の役割を演じているのは遊離Caイオン(Ca2+)である.血清蛋白濃度などに異常がない場合には,血清総Ca濃度の約50%近くをCa2+が占める.通常,検査室で測定されるのは総Ca濃度であり,健常者では8.5〜10.2mg/dlという狭い範囲に維持されている1).
血清Ca濃度の調節上最も重要な役割を演じているのは副甲状腺ホルモン(PTH)であるが,正常なCa代謝平衡の維持には1,25水酸化ビタミンD[1,25(OH)2D]の存在が必須である.カルシトニン(CT)もCa代謝平衡の維持に何らかの役割を演じているものと考えられる.これらのホルモンの分泌および作用は,他のホルモンによって相互に影響を受けあっている.したがって,Ca代謝調節系の評価にあたっては,これらホルモンの相互作用を念頭に置いた上で総合的に解析する必要がある2).
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