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Case
患者:88歳、男性。「アルコール性肝硬変(Child-Pugh分類A)」「慢性腎臓病(G4A2)」「慢性心不全」を合併する2型糖尿病。
独居で、徒歩10分のところにキーパーソンである長女が3歳の孫と住む。同居していた妻は昨年、脳出血のために亡くなり、それからは元気が出ない。服薬アドヒアランスは、長女の手助けで守られているようである。要介護1。
現病歴:車で20分ほどの総合病院の循環器内科・消化器内科・腎臓内科で診療を受けており、糖尿病管理は消化器内科でされていたようである。通院が困難となり、自宅に近い当院に紹介された。
アルコールは1年前にやめたが、そのぶん食事量が増え、糖尿病のコントロールおよび塩分過多による心不全・腎不全の増悪・寛解を繰り返している。アルコール性末梢神経障害による足底から下腿のしびれと疼痛が強く、歩行には杖が必要でゆっくりしか歩けない。日常生活で転倒しそうになることが多いようだ。他のADL(activities of daily living:日常生活動作)はおおむね自立、IADL(instrumental activities of daily living:手段的日常生活動作)は軽度の聴力低下以外は問題ない。
身長167cm、体重72kg、BMI 25.8。
血液検査:Alb 3.2mg/dL、AST 19U/L、ALT 11U/L、ALP 273U/L、γ-GTP 147U/L、BUN 35mg/dL、Cr 2.23mg/dL、eGFR 24mL/分/1.73m2、Crr 23mL/分、Hb 12.1g/dL、Plt 9×104/μL。HbA1c 9.3%、随時血糖284mg/dL、尿蛋白(1+)。
内服薬:シルニジピン10mg 1錠朝、ビソプロロール 2.5mg 1錠朝、アゾセミド 30mg 1錠朝、ポリスチレンスルホン酸カルシウム(アーガメイト®)20%ゼリー25g 2個分2朝夕、グリメピリド2mg 1錠朝(SU薬)、シタグリプチン50mg 1錠朝(DPP-4阻害薬)、ラクツロースシロップ40mL分2朝夕、肝不全用成分栄養剤(アミノレバン®EN配合散)50g 2包分2朝夕、フェブキソスタット20mg 1錠朝。
担当医師はつぶやいた。「腎機能がかなり悪い。超高齢。これで糖尿病の管理って、どうすればいいのかな……」。
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