特集 糖尿病のリアル—現場の「困った!」にとことん答えます。
複雑困難事例の「こんな時どうする!?」
CASE4 在宅寝たきり高齢者—あきらめない! 在宅インスリン療法
池田 幸雄
1
1高知記念病院 糖尿病内科
キーワード:
高齢者糖尿病
,
在宅医療
,
寝たきり
,
要介護
,
インスリン治療
,
サルコペニア
Keyword:
高齢者糖尿病
,
在宅医療
,
寝たきり
,
要介護
,
インスリン治療
,
サルコペニア
pp.366-369
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201402
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Case
患者:79歳、男性。2型糖尿病(インスリン依存状態)。
生活歴:軽度認知障害の妻と2人暮らし。子どもはいない。大酒家であったが、数年前から断酒している。
既往歴:慢性心不全、アルコール性肝硬変、慢性膵炎、高血圧。要介護1。
現病歴:20数年前から近医で糖尿病の治療を受けていた。数年前から経口血糖降下薬での血糖コントロールが困難になり、混合型インスリン製剤の1日2回注射を導入される。インスリン注射は本人が操作しており、妻はほとんど関与していなかった(針を見るのが怖い)。HbA1cは8.4〜9.6%と高値だが、時に低血糖を認めていた。
発熱・咳嗽が出現、上気道炎として治療を受けるも改善せず、次第に食事摂取量が減少し、立ち上がりも困難となる。「肺炎」および「脱水症」と診断され、当院へ紹介入院となる。
入院後経過:インスリン頻回注射で血糖管理しながら、抗菌薬投与と輸液により病状は徐々に改善した。一方、筋力低下が著しく立ち上がれず(要介護3)、Alzheimer型認知症も判明した(長谷川式簡易知能評価スケール16点)。インスリン自己注射手技は不安定で、皮下硬結(インスリンボール)を認めた。
空腹時血中Cペプチド0.1ng/mL、尿中Cペプチド 2.7μg/日。グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体は陰性。「糖尿病増殖網膜症」「糖尿病腎症(第3期)」「多発神経障害」を認める。
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